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片貝川支流猫又谷から登る猫又山

猫又谷全景 林道終点より
山行日時
2000年6月4日(日)
山名
猫又山
天候
晴れ時々ガス
メンバー
山田秀典、大和
装備
ピッケル、アイゼン

 前日の土曜日に秀典さんより急遽、 明日は天気がいいからどこかへ行こうとお誘いが入る。 都合さえつけば、やぶさかではないので、猫又山へ行くことになった。 だいぶ、落石が多いという情報と、雪面がスプーンカットになってきており、 スキーで滑ると結構しんどいという事前の情報を得ていたので、今回はスキーは使わず、上り下りとも歩いてゆくことにする。 歩いて山を登り降りするのは、今年になって始めてである。(^^;ゞ

 午前5時に秀典さんちに集合して、一路片貝川をさかのぼる。 今年は最終堰堤の工事が終了した為に、 林道終点までの除雪はしないとの情報通り、林道は取水口のところで雪が現れた。強力な4駆なら先に進めそうな感じだが、その後に決定的に車では通れないところがあるので、素直に歩いた方がいい。

 身仕度を整え、午前6時20分出発。 30分ほど歩くと林道終点である。ここからは猫又谷の全景が一望できる。 川より高い位置にある林道から少し下って、堰堤を越えて猫又谷に入る。 ここいらはすでに雪は消え、激しい水量で川が流れている。 少し進むと釜谷の出合いの少ししたあたりでいったん雪渓に乗るが、じきにまた河原が現れるが、すぐに雪渓に乗れる。 ここから川は現れることなく、稜線までびっしりの雪渓である。

二又付近

 雪渓の末端は雪崩に巻き込まれてきた木のかけらやら葉っぱやらでだいぶ汚れている。 傾斜は初心者用のゲレンデくらいである。気温が結構低く、雪面は固く締まっている。 傾斜がゆるいので必要ないのだが、滑らずに楽なのでアイゼンをつけて進む。ピーカンの 1700m 付近の二又あたりで下界を見下ろすと下は雲海である。 右又へ入る。ここから少し傾斜が増して、スキーで滑れば丁度よいような斜面が続く。下からガスが上がってきて、一時視界が 50m もないようになるが、じきに晴れたりまたガスったりを繰り返すようになった。

ガスってきた。ひどいときは、視界が20mほどだった。

 ときおり、ガラガラという落石の音が聞こえ、気味が悪い。 ガスっているときだと見えないので余計に恐ろしい。 落石の少なそうなところを選んで歩くようにする。 本格的に斜面が急になってくるあたりに、激しい右岸からの落石の跡があったが、この末端を横切ろうとしたときのことである。 秀典さんが、
「石が動いた!」
と、叫んだ。 私が先行していたのだが、慌てて上部を見る。ん、どこかなと秀典さんのほうを振り返ると、秀典さんは上部を指差している。 もう一度上を見ると、何とも巨大な石の塊が音もなく滑り落ちてくるではないか。 2人とも慌てて落ちてくるルートを避けて逃げた。 その巨大な石の落ちてくる筋には、もう一回り小さいが充分に大きい石があった。 はじめに落ちてきた石がその一回り小さい石にぶつかった。 にぶい衝撃音があがる。はじめの石はその場に停まったが、 今度は少し小さいほうの石が滑り出した。 そのまま20m 程滑って停まった。 この間、ほんの数秒の出来事である。あのまま気がつかずにいたら、危ないところであった。(^^; 10m も離れていないところで起こったのだ。

 気を取り直して、上へ進む。 もたもた休憩していると余計危ないのだ。危険地帯を速やかに通過しなくては。 稜線まじかの灌木が生えた島のようなところまで来てようやく、一息つくことができた。

「島」より下を見下ろす。

 島から上部はだいぶ傾斜が増して、 アイゼン無しで歩くのは相当に困難だろう。 毛勝山ほどではないものの今回は雪が堅いので、慎重に歩かなくてはならない。 また、先行者は一切いなかったので、人のステップをあてにすることも出来ない。 滑落すれば、相当落ちてゆくだろう。アイゼンの前爪を効かして、一歩一歩確実に高度を上げる。

 少し傾斜がゆるんだかな、と思ったら稜線はまじかだ。 コルに着くと目の前には劒岳がその勇姿を惜し気もなくさらしている。大日岳、奥大日、立山、劒岳、 その手前に赤谷山、黒部川を挟んで、後立山の山々がずらりと並ぶ。とりわけ、鹿島槍ヶ岳が印象的だ。

コルより劒岳を望む。

 猫又山山頂は、 コルからもう少しアルバイトしなければいけないが、稜線の雪が少なく、激しい薮漕ぎになるので、今回はここまでとする。 山頂を目指す場合は、もう少し早い時期に来た方がよいようだ。

 見晴らしのよいところで、 劒岳や雷鳥を肴に、ビールで祝杯を上げ、昼食とするが、時期にガスってきた。 後続のパーティーがいくつか下の方にみられたが、今回劒岳の勇姿が見れたのは、おそらく私たちだけであろう。 早起きは三文の得である。(^^;

 昼食後、山頂を辞する。 下り始めるとじきに後続のパーティーが上がってきた。4人パーティーだが、よく見ると先頭の人は、ストックを突きながら、もう片手で、 ピッケルのようなもの(?)を、雪面に引っ掛けながら(?)妙な格好で上がってくる。 近づいてみると、それは知り合いの高倉さんだった。(^^; 足元も4本爪の軽アイゼンである。あんなので怖くないのだろうか?落ちても知らないよ。(^^;

 急斜面の下りは登り以上に緊張した。 時折足元が滑って、怖い思いをしたが、 落石の恐怖地帯も無事通過して、斜面の傾斜が落ちた安全地帯で、アイゼンを外し、あとはグリセードを交えてのんきに下る。 下はガスも晴れ、すっかりいい天気だった。 スキーならすぐに降りれるのに、とぶつぶつ言いながらも、次の山行に夢をふくらませた。

 雪渓末端で、片貝川のうまい雪解け水を腹一杯飲んで山行を終える。

おまけ

コルから撮った大日岳〜劒岳〜後立山連峰へと続く、パノラマ写真(98KB)


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