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渓の生活@熊野川

実施日
2000年8月19〜20日(土、日)
メンバー
能登久、大和
熊野川

 午前5時半、黒部に集合し熊野川の入渓点である大山町河内を目指す。30分ほどでいけるかと思ったが意外に遠く、1時間近くかかってしまった。河内というのは槍ヶ岳を開山した播隆上人が生まれた山奥の村であり、 今は誰も住むものはいないはずだが、実はそうではなかった。 発電所を建て替えるために更に奥に飯場があるのである。

 発電所工事現場の手前に、高頭山登山者のための駐車場が設置してあったので、ここに車を止める。 早速、排ガスに寄ってきたのか、オロロが車の窓にばちばちとあたって来る。 しかし、たいした数ではないので、エンジンを切ったらじきにいなくなった。

 身仕度を整え、高頭山への登山道に取り付く。以前は発電所のすぐ横に取り付きはあったのだが、 現在は工事中のため、手前の杉林を大幅に伐採して付け換えられている。 あそこまで全面的に伐採する必要があるのだろうか?何か理由があるのだろう。

 登山道はいきなりの急登で始まる。以前は、導水管に沿った道であったが、今はその導水管も付け換え工事中である。かわりに工事関係者が現場を行き来するための汽車? のようなものが走っている。車台に椅子を5つ6つほど付けただけのもので、エンジンを積んでいるようだ。モノレール状になっているらしく、急傾斜にもかかわらず倒れたり、ずり落ちたりはしないようだ。シートベルトは無いようだったが、下りは相当恐いのではないだろうか。

 頭上には、 荷上げ用に索道が張ってあり、ときおり工事資材が上がって行く。 登山道にも、索道用の巨大な支柱が立っており、登山道というよりは、工事現場の視察といった風情である。 途中から工事用の林道を行くようになり、最後は、本当の工事現場についてしまった。 そこには、トンネルが掘ってあり、 どうやら熊野川の取水口まで通じているようで、トロッコが運行していた。

 従来の道がわからないので、工事関係者に「三枚滝への道は?」と問うと、「よそから来たので知らない」という。 取水口とか、登山道とか言っていたらようやくわかってもらえて、 道を教えてもらえたが、トンネル横の工事中の鉄筋棒をかいくぐって行くような道であった。

 ここまでは、 刈り開けられて日差しの強い道であったが、ここからはようやく本来の自然な感じがする道である。 しかも、水平道なので歩きやすいのだ。 小1時間も歩くと、川音が聞こえ、取水口に着いたが、そこもやはり工事現場であった。 堰堤は取り壊され、新しいものを建設中のようである。立ち入り禁止の札を無視して、先へ進む。 最後は、オーバーハングしたような鉄のはしごで川底に降りたった。

 ようやく、工事現場とはオサラバで、自然の中に入っていける。 ウェーディングシューズに履きかえるなど身仕度を整え、遡行開始。

 水量はほぼ平水と思われた。 足元を魚が走らないかと気にしていたが、そういうことはない。 それもそのはず、先行者の足跡を見つけた。それも新しい。 まだ水が滴り落ちているのだ。ほどなく、先行者に追いついた。ルアーをやる若い単独行者である。 声をかけると、もう戻るつもりだから先に行っても良いといってくれる。 それでも、ハコ滝までは遠慮して、先に釣ってもらうことにし、私達は、休憩とする。

ハコ滝の釜

 しばらくして、出発すると、若者が戻って来た。 ハコ滝の釜は不発に終わったそうだ。 まもなく、私達の目の前にもハコ滝が現れた。といっても、屈曲した狭いゴルジュ内に滝はあるので、 全貌は見えず、下の方が見えるのみである。 釜は奥行きがあり、水深も相当なものだろう。高巻きも考えないではなかったが、今回のお楽しみの一つでもあったので、直登することにする。

 腰まで水につかり左岸をへつって取り付く。 容易に最初のテラスに這い上がる。 次に私が、腰に荷上げ用のロープを下げて次のU字型の苔むしたスラブに挑むが、あえなく敗退。 久君が左のルートから上がってくれた。その上は私が空荷でリードし、 上からザックを2人分釣り上げたのだが、引っ掛かりやすく、難儀して腕がパンパンになってしまった。 久君もなんなく上がって来た。

15m滝登攀中の能登久

 ハコ滝のすぐ上の滝は左から容易に越え、先へ進む。 軽量化してきたとはいえ、それでも久々の重荷、ペースはあまり上がらない。 途中昼食をとりつつ、2時くらいまでには、もう2つの滝を越えたいものだと話し合う。 ほどなく、15m滝登場。 これは、右から容易に登れる。しかし下りはロープがないと不安だろう。

 しばらく遡行を続けるとやがて、ダイナミックな滝が現れた。3つめの関門である。 2段か3段になっているようだが、下からは下段しか見えない。飛沫に日が射して美しい。 丸く釜は大きい。釜の前で小休止していたら、超小型のマムシを見つけた。

第3の関門、右岸から巻いた。

 この滝は直登は考えられない。 右岸から巻く。左のルンゼを登るのだが、すぐに二又になっており、 右に行った方が小さく巻けていいのだが悪いので左に入り途中からトラバースすることにする。 悪い草付きで、アイスハンマーを持っている私はいいのだが、持っていない久君は苦戦だ。私が先に上がり、上でロープを固定して、ゴボウで登ってもらう。この先は立ち木もあるので、なんなくトラバース、下降して、滝の上に降りたった。

 滝の上からは、谷も穏やかになり、安心して歩くことができる。 事前に左岸からの支流を3つ見た辺りに良い天場があるとの情報を得ていたので、 それを目指す。 ほどなくその「良い天場」に到着。なるほど、河原には焚き火の跡があり、一段高い所に平坦な草地があって快適そうなところだ。しかし、この辺りはオロロも多いようだ。 これまではたいしていなかったのだが、ここへついた途端にまとわりつかれた。汗をかいているせいもあるのだろうが、やはり、人がよく来るところには、オロロも住みついているのかもしれない。翌日は小原川へ山越えする予定なので、 あまり上流へ天場をもって行きたくない事情があった。 小原川へのルートに使う支流はここのすぐ上流のはずなのだ。 結局、汗がひけばオロロも減るだろうということで、ここを天場にすることとする。午後4時であった。

 天場が決まれば、早速設営。 立ち木にロープを渡し、それを利用してツェルトのフライシートで屋根を作る。 雨が降りそうな気配なので、しっかりと作った。 次は、薪集め。この天場はよく利用されているらしく、辺りに流木が少なく、結構遠くまで薪を集めに行った。設営完了、午後5時。

フライシートのみで設営した天場

 次は食料確保だ。釣り上がる。 ほどなく小原川への山越えのルートに使う支流に出会う。 私はそちらへ入ってみることにする。最初のポイントでいきなり魚が出た。 しかし、小さい。7寸ほど。更に先へ進んでみるが、どうも川が小さすぎてポイントが少ないので、あきらめて本流に戻る。 と、久君がまだそこにいる。 にこにこ笑って、魚を見せてくれた。尺ものである。これでひと安心。 交互に釣り上がる。午後6時まで釣った。結局、久君がさらにキープサイズ1匹追加、 私も1匹ゲットして、計3匹が今宵の食卓に供されることとなった。

 薪に火を入れ、焚き火を起こし、魚のワタを抜く。 米も砥がないといけないし、塩焼き用の竹串も作らなければいけない。 結構忙しく立ち働いて、焚き火の前に落ち着いた頃には、とっぷりと日が落ちていた。

 魚は、1匹は刺し身にして、そのアラを、味噌汁に入れた。 残る2匹は遠火で、じっくりいぶし、焼き枯らした。 焚き火を眺め、焼酎をちびりちびりと舐めながら、熊野川の夜は過ぎてゆくのであった。

焚き火で岩魚を焼き枯らす

 明けて20日。 6時にゆっくりと起き出して、焚き火を起こし、昨夜の残りもので岩魚雑炊を作る。 コーヒーを飲み、ゆっくりと出発の準備をする。天場をかたずけ、 荷物を持って出て、小原川越えの支流の出会いにデポしておく。ここからしばらく空荷で上流の魚の生息調査である。午前8時。

 前日のポイントは竿を出さずにゆく。 ほどなく昨日引き返したゴルジュの入り口に到着。 小滝をいくつか越える。途中の滝壺に竿を入れてみたが、留守のようであった。

 午前10時30分、引き返すことにする。 1時間弱ほどで、デポ地点に戻ったが、久君にだいぶ疲れが出てきたようだ。 ラーメンを食べて、昼食とする。

 12時過ぎに小原川を目指し、支流の遡行を開始。 地図と高度計、コンパスを頼りに沢を詰める。 幸い、要所要所に目印が付いていたので、1時間ほどで乗越し到着。藪はさほどでもなかった。一服した後、コンパスを振って、進路を決定、下降に入る。 小原川はひどい藪。しかも急傾斜で足元が見えない。 木にぶら下がるようにして下って行くとほどなく沢状となり歩きやすくなった。

 下降する小原川の支流は傾斜が急でぐんぐんと高度を落として行く。 滝らしい滝も無いので困難はないのだが、結構足に来る。 遠くに向かいの山が見えたので本流の出会いかと思ったが、二又であった。 いい加減にいやになる頃、古い橋が出現。 地図によれば、堰堤が2つあって、その下に林道が来ているはずなのだが? 壊れてなくなってしまったのかと思ったら、橋の下にそれはあった。右岸から2つの堰堤を巻き、更に進む。

 もうすぐ本流との出会いまじかというところで、8m程の滝が現れた。 クライミングダウンは無理だがトラ縄が下がっていた。 しかし、このトラ縄、結構古そうで黒く変色し、いかにも弱っている感じだ。 自前のロープを出して懸垂下降した。 ここまで魚の姿をみなかったが、この滝が魚止めだったのだろうか。

 出会いに到着したのは、4時少し前であった。 地図によれば、出会いから少し下ったあたりが林道との距離が近く、容易に上がれそうだ。 100m程行くと手頃な枯れ沢があったのでそれを利用して上がる。 ところが河原から見たときはほんの10m程登れば林道のはずであったが、 なぜか見当たらない。 よく見ると枯れ沢を横断するところで道が崩壊していたのだ。ようやく林道に入るが、 林道とは名ばかりで、草に埋もれた1本の踏み跡であった。しかし、河原と違い下が平坦なので、面白いように早く歩ける。 林道は途中から遠回りになるので、 半分ほど行った地点で川に戻る予定でいたが、どうも遠回りでも林道遠しで行った方が早いようである。

 進むにつれ次第に踏み跡もしっかりとした林道と化してきた。 途中、オロロがだいぶ増えたが、しばらくするとまたいなくなってしまった。 未舗装の林道がアスファルトに変わるにつれ、足への負担が大きくなって来る。 だいぶ足がガクガクになった頃、高頭山登山口にある車にたどり着いた。 午後6時少し前であった。


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