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幻の桂を見た!

杉谷の幻の桂

 今から4年ほど前、私は地元の山岳自然保護団体「大蓮華山保勝会」の柳又谷ルート調査隊の一員として北又谷から横山乗越し経由で柳又谷ヘの入溪を試みていた。
江戸時代に加賀藩のいわゆる「黒部奥山廻り」のルートである。何百年も前のルートではあるが、現在でも熊撃ちや釣りキチが利用しているという。

 このルートは柳又谷下流部の核心、飛竜峡をパスするために考案されたルートで、北又谷の杉谷より横山乗越しを経て柳又谷の柳河原へ至るものである。
 黒部奥山廻りの記録にこの杉谷に巨大な桂の木があるという。この桂の木を発見することもこの時の重要な任務であった。オオゲサナ(^_^;)

 事前にたいした情報を収集せずに出発した我々は、なかなか杉谷に入渓できずにいた。というのも、杉谷は北又谷本流の出合いから100メートルほどで大きな滝となっているため直接入ることは出来ない。しかも、回りは大変険しく、高巻してはいるにしても、大きく巻かなければならない。我々は、手前から山の上にみえる杉の木を目指せばいいというおおざっぱな情報を元に薮尾根に突っ込んだ。熊の痕跡がぷんぷんする厳しいところである。先頭に立つ熊撃ちの幸ちゃんは慣れているためどんどん先を行くが、重荷と薮に難渋する私と櫻坂さんは遅れがちである。おまけに雨まで降ってきて最悪である。この調子では今日中に杉谷に行き着けそうにない。といってこのひどい薮の中でビバークする気にはとてもなれない。結局、この尾根はあきらめることにして北又谷まで戻ってキャンプとなった。

 翌日は杉の木なぞアテにせず、自分たちの目でルートファインディングすることにして、最短の高巻ルートを探った。結局このルートが正解ルートだったようだ。で、下り立ったのは杉谷ではなくカラ谷である。実は杉谷の滝のすぐ上流で、杉谷は杉谷本流とカラ谷とに別れているのである。したがってもう一度山越えで杉谷に入渓する。

 ようやく杉谷にたどり着いた。なるほど、鬱蒼と木々が茂りいかにも巨木がありそうな雰囲気である。しばらく沢通しに進む。あった!大きな桂の木だ。しかし、思ったほどではない。これではないのか? 一応写真に撮って先を進む。
 だいたい、よく考えたら、私は桂の木がどんな木なのか知らないのである。(^_^;) しかし、樹齢何百年の木ならみればわかるだろうという安易な考えである。他に二人もいるし、なんとかなるだろう。などとぶつぶつ言いながら進むと、あった! 今度こそ本物である。一見してでかい!明らかに先程のものとは格が違うのは誰の目にも明らかである。いちおう、他にもないか辺りを探してみたが、他にはそれらしき木がないので、これをいわゆる「幻の桂」とする。
ここに辿り着くのに2日もかかってしまった。(^_^;)

幻の桂、再び

 さて、今年(97年)秋、地元朝日岳方面遭難対策協議会山岳救助隊の訓練山行が、北又谷、柳又谷方面で行われた。杉谷経由柳河原というコースである。またしても、あの幻の桂の木に会える! 2度目なので今度は迷うこと無く桂の木まですんなり行けるだろうと思ったが、案の定、北又小屋を出発してわずか2時間半ほどで着いてしまった。(^_^;)

平成7年の水害の影響か、杉谷、カラ谷ともにひどい荒れようである。しかし、桂の木は健在であった。以前は、木の下流側は薮で覆われていたのだが、今は河原と化している。きっと、何百年も生きるこの木はこれまでにも何度もこんな目に遭ってきているに違いない。百年後にもこの木はあるだろうか。あって欲しいものである。

*写真は97年撮影のもの


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